Kimlahimvic’s Diary

Rock, Book, Beer, and Soccer などのとりとめのない話

『ロックの神様』久保憲司とSNOOZER誌のディスクガイドを熟読してた

大学の頃、『SNOOZER』という音楽雑誌を愛読していた。

 

今もサインマグなどの媒体で活躍している、田中宗一郎氏が編集長だった洋楽誌で、

ロッキンオンと似ていたが、よりトガったアーティストがセレクトされる傾向が強く、

ジャンルもロックだけじゃなくテクノやハウスなどのダンスミュージック系も多かった。

また、特定の日本のアーティストも取り上げていた。

 

つまりはタナソウ氏の好みが直接的に反映された雑誌で、

気に入らないアーティストは徹底的にこき下ろされていた。

また、誌面の随所にロッキンオン誌への対抗意識が露呈していて、

それもおもしろポイントだった。

 

CLUB SNOOZERというDJイベントもあって、それも数回行ったことがある。

確か最初は新宿コマ劇場裏にあった時代のLIQUIDROOMでやっていて、

移転後はいろいろな場所でやっていた。

 

SNOOZER誌もクラスヌも思い出がいっぱいだ。

ここで知った音楽は本当にたくさんある。

 

ロッキンオン的な正統ロックリスナー(オアシス、コールドプレイなど)だった私だが、

SNOOZERと出会って随分ジャンルが広がった。

 

BOOM BOOM SATELITES、HERBERT、The Avalanchesなんかは

SNOOZER読んでなかったら聞かなかったと思う。

 

WINO(JUN)、Jerry Lee PhantomなんかもSNOOZERでしか盛り上がってなかったような。

 

MUSIC LOVERS

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マジックタイム

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さて、そんなSNOOZER誌で映画批評のコラムを持っていたのが、

ロック・フォトグラファーの久保賢司さんだ。

 

クボケンさんは17歳で単身ロンドンに渡り、

ロック雑誌の編集部に単身乗り込んで写真の仕事を得て、

数々の伝説のライブ現場に立ち会い・・・

という大変にアクティブな人で、

帰国後はライターやイベントのオーガナイザーとしても活躍している。

 

SMASHの日高さんが初めてグラストンベリーを視察に来たときにも同行して、

通訳を兼ねつつちゃっかり遊び倒したり、

ジーザス・アンド・メリーチェーンの数人しかいない最初期のライブを目撃したり、

セカンド・サマー・オブ・ラブを現地で体験して、

帰国してからは芝浦GOLDでクラブ・ヴィーナスというアシッド・ハウスの

イベントを始めて、デリック・メイやアンドリュー・ウェザオールを呼んだり、

そのフットワークで数々の伝説にふらりと立ち会っている、

ロック現代史の生き証人のような人である。

 

そんなクボケンさんの音楽エッセイ、『ロックの神様』を私は大好きで、

大学時代は何度も読み返した。

 

 

クボケンさんは渡英前、パンクバンドをやっていて、

憧れていた町田町蔵のライブの前座をしたりしている。

つくづくすごい行動力の人だ。

 

この本の巻末に、クボケンさんとタナソウさんの対談が収録されている。

 

二人の出会いはタナソウさんがロッキンオン誌の副編集長だった頃、

クボケンさんにプライマル・スクリームの記事を書いてもらったときだそう。

 

タナソウさんがクボケンさんの書いた文章にめっちゃ赤字を入れたところ、

その記事が載ったロッキンオンを見たクボケンさんの友達から、

「お前、めっちゃ文章うまいねんな」

とめっちゃ電話かかってきた、というエピソードが好きだ。

 

また、タナソウさんは入稿前の忙しい時期にしょっちゅう行方をくらましていたらしく、

後になって聞くと、

「海を見に行ってた」

と答えているのを見て、「副編集長なのにいいのかなな」と思ってた、

というエピソードも(笑)。

 

 

同じ時期にSNOOZER編集部が出したディスクガイド、

The Essencial Disc Guide 2004  あなたのライフを変えるかもしれない300枚のレコード』も熟読した。

 

2003年のSNOOZER誌選出のベスト50アルバムを紹介し、それぞれのアルバムについて、

これが好きだったらこれも聞くべき、もしくは、

このアルバムの参照元となった過去の名作、

などが芋づる式に紹介されている、なかなか画期的な構成のディスクガイドだ。

 

 

例えば私の大好きだったThe Rapture『Echoes』に紐づけられているのは、

 

PUBLIC IMAGE LTD.  『Metal Box(Second Edition)』

THE KINGSMEN 『The very vest of the Kingsmen』

PSYCHEBFC   『Elements 1989ー1990』

ROXY MUSIC 『For your Pleasure』

MU『afro finger and gel』

CAN  『Future Days』

DURAN DURAN  『DURAN DURAN

 

一見脈絡なさそうなアルバムも混じっているが、

そこに文脈を見つけ、結びつけるのがタナソウさんの腕の見せ所。

 

これを読んで当時の私のJANIS通いは加速するのだった・・・

 

 

と言いつつこれを書きながら思ったが、上記のリストで実際に聞いてみたのって、

キングスメンとMUだけだな・・・